
ニュースを見ていると、アメリカと中国が同じ方向に進んでいるように見えることがある。
アメリカは関税を引き上げ、自国産業を守る。中国は半導体や人工知能に巨額の資金を投じ、技術の国産化を進める。どちらもサプライチェーンを固め、重要な技術を他国に頼りすぎないようにしている。
私も以前は、「結局、二つの国は同じゲームをしているのではないか」と思っていた。
しかし、似ているのは行動であって、その行動によって守ろうとしているものは違う。
アメリカは、今いる場所から降りたくない

アメリカは長いあいだ、世界経済の中心にいる。
ドルは国際貿易や金融で広く使われ、世界中の資金がアメリカの金融市場に集まる。ソフトウェア、金融、半導体、人工知能などでも、アメリカ企業は大きな影響力を持っている。
この立場は、単なる「世界一」という名誉ではない。
世界がアメリカの通貨や技術、プラットフォームを使えば、それだけアメリカ企業や金融市場にも利益が集まり、国際的なルールを決める力も強くなる。
だから、先端技術の中心が中国へ移ることは、アメリカにとって一つの産業で負けるだけの問題ではない。
アメリカが先端半導体や人工知能に関する中国への輸出を制限してきた背景にも、こうした事情がある。これからの産業で技術的な優位を守ることは、世界経済の中心として持ってきた影響力を守ることにもつながる。
アメリカは新しく頂点を目指しているというより、すでにいる場所から押し出されたくない国なのだ。
中国は、内側が揺れることを避けたい

中国にとって経済成長には、少し違う意味がある。
中国は数十年にわたる急速な経済成長によって、多くの雇用を生み出し、人々の生活水準を大きく向上させてきた。
だから経済成長は単なる数字ではない。雇用や生活、そして社会の安定と直接つながっている。
ところが今の中国は、不動産市場の低迷や若者の雇用など、国内にいくつもの問題を抱えている。景気低迷が長期化すれば、それは企業の経営や家計、雇用へと広がり、社会全体の不安につながる可能性がある。
ここで半導体などの技術自立もつながってくる。
重要な技術を外国に大きく依存していると、アメリカなどから供給を制限されたとき、中国企業の生産や新しい産業の成長まで影響を受ける。そうなれば、ただでさえ弱っている経済や雇用にさらに負担がかかる。
だから中国は半導体の国産化を進め、人工知能、電気自動車、電池などにも大きな資金を投入している。
不動産に代わる新しい産業を育てて雇用をつくる。そして外国から技術を止められても、自分たちで成長を続けられるようにする。
つまり技術的な自立も、別の話ではない。
外から圧力を受けても、それが国内の経済や社会の不安定につながらないようにするためでもある。
同じ行動でも、守ろうとしているものは違う

こうして見ると、アメリカと中国が似た政策を取っている理由も見えてくる。
どちらも半導体を支援し、自国企業を守り、サプライチェーンを固めている。
しかし、アメリカは世界の中心として築いてきた優位を守ろうとしている。一方、中国は外部からの圧力が国内の経済や社会の不安定につながることを防ごうとしている。
以前の私は米中のニュースを見ると、「どちらが勝っているのか」を考えることが多かった。
今は、その前にこう考えるようになった。
「この国は、何を守ろうとしているのだろう。」
同じように見える政策でも、この問いから見ると、その意味はずいぶん違って見える。
文:My Language Trip
イラスト:My Language Trip (AI-assisted)